(最新判例:その他)夫婦同姓の強制は合憲(最高裁)

 

2015年12月16日、最高裁大法廷が出した2件の憲法判断のうち、「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」という夫婦同姓を強制する民法750条については、合憲であるとの憲法判断が下されました。

 

夫婦別姓を認めない民法の規定について、裁判官15人のうち、10人が合憲とし、5人が違憲としました。

 

多数意見は、どちらの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねられており、民法の規定に男女の形式的な不平等は存在せず、憲法14条に違反しない、夫婦が同じ姓を名乗る制度は日本社会に定着しており合理的であると判示しました。

 

結婚して姓を改めた人が不利益を受けることは否定できないとしながら、通称使用が広まることで不利益は緩和されるとも判示しました。

 

その上で、夫婦別姓を選択できる制度に合理性がないと言うわけでなく、国会で判断されるべきとしました。

 

確かに、男女の形式的な不平等は存在しませんが、どちらか一方が自分の姓を捨てない限り法的な婚姻はできず、夫の姓を選択する女性は9割以上にのぼるのが現実です。

判決が、姓の変更を強制されない自由を人格権として認めなかったことが最大の問題点です。

 

他方、5人の裁判官の反対意見は、多くの女性が姓の変更の不利益を避けるため事実婚を選んでいること、同じ姓でない夫婦は破綻しやすく子の育成がうまくいかなくなるという根拠はないこと、国会が長期にわたり立法措置を怠っていることなどを指摘しています。

 

最高裁は、決して夫婦同姓制度にお墨つきを与えたわけではありません。

国会は、早期に、夫婦別姓選択制度の導入に向けて立法をすべきです。

 

(弁護士村松いづみ)