(最新判例:その他)原発事故避難で自殺、賠償命令(福島地裁)
福島の原発事故により避難していた女性が2011年7月に自殺したのは「避難生活で精神的に追い詰められ、うつ状態になったため」として、遺族が東京電力に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁は、2014年8月26日、東電に約4900万円の損害賠償を命じました(2014年8月26日付け京都新聞夕刊)。
原発事故が原因で自殺したとして東電に賠償を求めた訴訟では初めての判決になります。
通常、民事事件の判決の言渡しは、裁判長が法廷で主文だけを読み上げるだけで、理由の説明はされないのですが、この訴訟では、裁判長が「事案に鑑みて、理由を話します」と前置きし、判決理由を説明したとのことです。
東電は、「事故前から睡眠障害で薬を飲んでおり、原発事故以外の原因を考慮するべき」として争っていましたが、判決は「女性は生活の基盤全てを相当期間失った。・・・家族や地域住民とのつながりも失ったという点で大きな喪失感をもたらすものでストレスは非常に強いものだった」「事故で生じた強いストレスが女性をうつ状態に至らせ、その原因となったストレス要因自体が、自死に至る準備状態の形成に大きく寄与したと評価できる」「東京電力は、事故が起きれば核燃料物資などが広範囲に飛散し、居住者が避難を余儀なくされ、さまざまなストレスを受けて自死に至る人が出ることも予見できた」などと判示しました。
(弁護士村松いづみ)