(最新判例)精神不調による欠勤社員の解雇は無効(最高裁)
精神面での不調を抱えて欠勤を続けた男性社員を、会社が「無断欠勤」として諭旨退職の懲戒処分としたことの是非が争われた裁判で、最高裁は、4月27日、「精神的不調で欠勤している労働者には、会社は精神科医の診断を受けるさせるなどして、経過を見るなどの対応を採るべき」とし、このような対応を採らず解雇とした処分を無効と判断しました。
(2012年4月28日付け朝日新聞)。
事案の概要は、次のとおりです。
訴えていたのは日本ヒューレット・パッカード(本社・東京)を2008年に解雇された男性(41歳)。
男性は、被害妄想など何らかの精神的不調を訴え、盗撮や盗聴で自分の日常生活が監視されていると会社に訴えました。
そして、問題が解決しない限り出勤しないとあらかじめ会社に伝えた上で、有給休暇をすべて取得した後、約40日間にわたり欠勤を続けたため、解雇されました。
職場で精神的不調を訴える労働者が増えています。
その意味で、この判決は、社会的に大きな影響を与えると思います。
(弁護士村松いづみ)