(最新判例)出生届に、婚外子の記載は不要(最高裁)
9月4日、民法上の婚外子の相続分規定が違憲であるとの判断を下したばかりの最高裁ですが、婚外子差別をめぐって、2013年9月26日、また、新しい判決が下りました。
争いとなったのは、出生届の記載でした。
戸籍法49条によると、現在の出生届には、続き柄欄に、子どもが嫡出子か非嫡出子かを区別して記載しなければなりません。
それをSさん夫婦は、区別を記載せずに提出したところ、出生届が受理されなかったため、これを不服として世田谷区と国に損害賠償などを求めていました。
最高裁は、「出生届に記載しなくても、自治体が両親の戸籍を照会するなどして婚外子かどうか判別することもでき、必要不可欠とは言えない」という初めての判断を下しました。
しかし、「規定は、自治体の戸籍上の事務処理を行いやすくするためのもので合理性があり、婚外子を差別するものではない」とし、結論としては、Sさん夫婦の敗訴が確定しました。
他方、本件の下級審は「差別を助長するとの見方があり、撤廃しないことに憲法上の疑問がある」と判示していましたし、最高裁判決の中でも「親の結婚の有無は他の手段でも確認できる。記載内容の変更や削除を含めた見直しが望まれる」との補足意見がありました。
これには後日談がありました。
兵庫県明石市は、10月1日から独自に婚外子か否かの区別のない出生届を作りましたが、神戸地方法務局から是正指導を受け、いったん中止となりました。
出生届にわざわざ婚外子か否かの区別を記載する理由が見いだせません。
速やかな法改正が望まれます。
(弁護士 村松いづみ)