(法律コラム:少年・刑事)刑事手続の流れと弁護活動について①
(刑事手続について)
前回のコラムでは当番弁護士制度及び接見についてお話しました。
今回は、刑事手続(勾留決定まで)の流れと弁護活動について見ていきます。
被疑者が罪を犯し、警察に逮捕されると、警察は逮捕後48時間以内に検察官に書類と共に身柄を送致しなければならず(刑訴法203条1項)、これを検察官送致といいます。
検察官は、留置の必要性があると思料するときは、送致を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留を請求しなければなりません(刑訴法205条1項)。
裁判官が、勾留の理由及び必要性があると認めたときは、勾留決定がなされ、勾留状を発し(刑訴法207条4項)、被疑者は勾留(10日間)されることになります。さらに、勾留延長されることもあります(刑訴法208条2項)。
(弁護活動について)
では、勾留決定までに弁護士が出来ることは何でしょうか。
まずは、即座に被疑者と接見して被疑者を精神的に励ますことです。特に初めて逮捕された被疑者は、精神的に非常に動揺しており、弁護士によるサポートが不可欠です。接見で、弁護士は被疑者から様々なことを聞き取り、刑事手続や黙秘権等の説明をします。また、弁護士は、家族等と面会したり証拠を集めたりします。さらに被害者と示談交渉することもあります。
次に、検察官と面談をして勾留請求しないように意見書を出します。しかし、検察官は、逮捕段階では、原則勾留請求を行いますので、十分に説得的な意見書及び意見書の根拠となる証拠が必要となります。意見書では、集めた証拠から、勾留の理由及び必要性がないということを書きます。ちなみに、意見書提出の際に、①示談書、②嘆願書、③反省文、④誓約書(被害者に近づかない旨記載した書面)、⑤身元引受書等の文書も提出することがあります。
私が担当した事件で、夫が、些細な言い争いから妻の胸あたりを押し、妻をソファに倒れ込ませたことを理由として、暴行罪(刑法208条)で逮捕されたという事件がありました。私は、被疑者と接見をした後、自宅の連絡先を聞き連絡をしました。すると、妻の方もソファに倒されただけで逮捕されると思っておらず、早く夫に帰ってきてほしいと言いました。そこで、妻とその日の内に面談し、夫に対して損害賠償を請求しない、処罰を求めない旨の嘆願書を作成してもらい、事件が軽微であって、逃亡の恐れがないこと、被害者に働きかけて証言を歪曲する等の罪証隠滅の恐れもないこと、身柄拘束によって勤務先に解雇される可能性があり、勾留の必要性がないこと等を根拠として、勾留請求をしないように意見書を検察官に提出し、面談も行いました。その結果、勾留請求がなされずに夫は釈放されました。
勾留請求がされるのは、逮捕から72時間以内(刑訴法205条2項)ですから、勾留請求をさせないという形で被疑者を釈放させることは時間的に非常に難しいのですが、一番早く被疑者を釈放させる手段であり、それは、弁護士の迅速な弁護活動にかかっているのです。
また、弁護士は、勾留決定を行う裁判官との面会も行います。裁判官面会で行うことは、基本的には検察官面会と同じです。
以上のような弁護活動を行い、それでも、裁判官が勾留決定を行った場合、被疑者の釈放を目指し、裁判官の勾留決定を争うことになります。
次回は、勾留決定後の刑事手続と弁護士の弁護活動についてお話します。
(弁護士 岡村政和)





