(最新判例:少年・刑事) 姦通罪は憲法違反(韓国)
新聞報道によりますと、韓国の憲法裁判所は、2月26日、配偶者のいる者が配偶者以外と性的関係を結ぶことを罰する刑法の姦通(かんつう)罪を憲法違反とする判決を出し、姦通罪は即時廃止されました。
韓国の姦通罪は、1905年に当時の大韓帝国で、妻とその不倫相手だけを罰する姦通罪が制定され、韓国建国後の1953年に妻だけではなく夫とその不倫相手も罰する姦通罪が制定され、罰則は懲役2年以下と定めていました。
韓国の憲法裁判所は、過去4回にわたって姦通罪を合憲とする判断をしてきましたが、今回9人の裁判官のうち7人が違憲と判断しました。判決は「姦通は不道徳な行為として糾弾されるべきであるが、国家が個人の私生活に介入するべきではない」と指摘しています。
韓国では、1953年からこれまでに姦通罪で処罰された人は10万人を超え、有名な芸能人も処罰されていました。最後の合憲判決が出た2008年10月31日以降に姦通罪で処罰された約5400人は再審を請求すれば全員無罪となる見通しです。
日本でも、戦前、妻の姦通のみを処罰する姦通罪(旧刑法183条)がありましたが、戦後、日本国憲法の男女平等の原則(憲法24条)に反するため、昭和22年に廃止されました。
(弁護士 村井豊明)