(最新判例:刑事)令状なしのGPS捜査は違法(大阪地裁)
2015年4月10日付け当コラムで警察によるGPS捜査について書きましたが、このほど、大阪地方裁判所は、このGPS捜査が違法であるとする初判断を下しました。
令状主義の精神を理解している裁判官が存在していたことに救われる思いがしました。
警察が捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末を令状なしに取り付け、行動を探ることについて争われた、窃盗事件の刑事裁判の中で、大阪地方裁判所は、「令状主義を軽視し、プライバシーを侵害する重大な違法捜査」であると判断し、GPS捜査で得られた情報を証拠から排除する決定を下しました。
また、発信器の取り付けや取り外しのために承諾なく私有地に立ち入ったことも問題だとしています。
GPS捜査は、憲法35条の「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は・・・令状がなければ、侵されない」という規定に反しています。
日本では、GPS捜査をめぐっては、刑事訴訟法に規定がないため、警察庁が2006年、基準を定めた内規を各警察本部に通知したのみで運用されています。
アメリカでは、連邦最高裁が、既に2012年に、このようなGPS捜査は憲法違反であると判断し、その後は、GPS使用に令状を必要とする法整備が進められました。
日本でも、きちんと令状を取って行うというルールが必要です。
(弁護士村松いづみ)