(法律コラム:その他)贈与税の非課税枠が拡大

【相続税の課税強化】

2015年1月1日から、相続税の基礎控除額が引き下げられ(詳細は、2014年12月28日付け「法律コラム」をご覧ください)、最高税率も引き上げられました。

《基礎控除》

5000万円+1000万円×相続人の数=基礎控除額

3000万円+600万円×相続人の数=基礎控除額

 

《最高税率》

50%⇒55%(6億円を超える金額)

 

【贈与税の非課税枠の拡大化】

他方で、親から子、孫への贈与にかかる贈与税の非課税枠が大幅に拡大しつつあります。

① 住宅取得等の資金

 父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等の資金の贈与を受けた場合、受贈者には贈与税がかかりますが、今後、贈与税の非課税枠が拡大されることになります。
 2015年度税制改正の大綱が今年1月14日に閣議決定され、これに基づいた予算が成立すれば、省エネ対策をとった家屋等の「良好な住宅用家屋」の場合、次のとおり、非課税枠が最高3000万円まで拡大されます

   2014年1月~12月       1000万円

   2015年1月~12月       1500万円

   2016年1月~9月        1200万円

   2016年10月~2017年9月  3000万円

   2017年10月~2018年9月  1500万円

   2018年10月~2019年6月  1200万円

 

② 教育資金

 2013年4月1日~2015年12月31日の間に、父母や祖父母などの直系尊属から教育資金として一括して贈与を受けた30歳未満の受贈者には、1500万円までの金額であれば、贈与税はかかりません。

 

③ 結婚・子育て資金

 2015年4月1日~2019年3月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から結婚・子育ての資金として一括して贈与を受けた受贈者(20歳以上~50歳未満)には、1000万円までの金額であれば、贈与税はかかりません。

 

【最高で5500万円の非課税枠】

 その結果、最大で非課税枠は5500万円となります。
 すなわち、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅取得等の資金として3000万円、教育資金として1500万円、結婚・子育て資金として1000万円の合計5500万円の贈与を受けても、贈与税を一切支払わなくても良いことが可能となるのです。

 フランスの経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が『21世紀の資本』で記した、欧州型の「世襲資本主義」の再来でしょうか。

                                   (弁護士 村井豊明)