(最新判例・刑事)成年後見人は特例適用外=親族間でも刑免除せず

 

親族の間で、窃盗や詐欺・横領など一定の財産犯罪を犯した場合、刑法は、その刑を免除すると定めています(244条ほか)。

これは、刑罰権の行使を控えることで、親族間の自律的解決に委ねる方が望ましいという政策的考慮にもとづく特例です。

 

この刑の免除規定の適用について、最高裁は、10月9日付けで「成年後見人の事務は公的性格があり、刑は免除できない」という判断を下しました。

事案は、成年後見人となった養父が養子の貯金約930万円を使い込み、業務上横領罪で実刑となったものです。

 

なお、最高裁は、平成20年2月18日、未成年後見人になった祖母が横領した事案についても、後見事務は公的性格を有するものであるとして、刑の免除規定を適用しませんでした。

 

(弁護士村松いづみ)