(法律コラム:労働・労災)「名ばかり管理職」と残業代
係長や店長に昇進した喜びも束の間、もらった月給袋からは残業代がなくなって給料ダウンということがよくあります。
労働基準法は、残業に対しては、通常の賃金の2割5分以上の率の残業手当を払うよう定めています(37条1項)。
その例外として、企業経営の必要上「監督・管理の地位にある者」にはこれが適用されないとしています(41条)。
では、「長」がつけば、この管理監督者に該当してしまうのでしょうか。
厚生労働省は、管理監督者とは、労務管理について経営者と一体的な立場にある者で、出勤や退勤について厳しい制限を受けない者を言うとしています。
従って、具体的には会社の大きさなどによっても異なりますが、「長」がついたからといって当然残業代がなくなるわけではないのです。
裁判例でも、「名ばかり管理職」の実態を認め、残業代の支払いを命じたものがあります。
(弁護士村松いづみ)