(法律コラム:その他)高齢者の扶養義務
人口の老齢化が進み、確実に高齢化社会に向かって進んでいます。
しかし、公的な福祉サービスは決定的に不足しており、老人介護をしている人の大半が女性で占められています。
まさに老人問題が女性問題と言われるゆえんでしょう。
また、自分の老後は誰がみてくれるのだろうと将来に対する不安を抱いておられる方もあるでしょう。
民法では、扶養の義務は、配偶者のほか直系血族(親子、祖父母と孫など)と兄弟姉妹となっており(877条)、順序は法律で決められていません。
親を長男が扶養するのが当然という考えがいまだに多いようですが、法律的には子どもの間に差はなく、もちろん女性が結婚しても自分の親の扶養義務はあるわけです。
複数の扶養義務者がある場合、誰がどのような方法で扶養を行うかを決めるには、まず当事者間の話し合いで、話し合いができない場合には、家庭裁判所がその方法や程度を定めます。
老人の側としては、子どもと一緒に暮らしたいと望む場合もあるかもしれませんが、老人を引き取って扶養するよう裁判所が強制することは難しく、同居することになる者全員の意向を尊重して決められることになるでしょう。
従って、扶養の方法は、原則としては、定額の扶養料を毎月払うことになります。
(弁護士村松いづみ)