(最新法令:その他)親権の喪失・停止(民法の一部改正)

20歳未満の子どもについては、父母が親権を持ってます(民法818条1項)。
父母が結婚している場合は双方が親権者で、離婚の際はどちらか一方を親権者と定めます。

親権者には、子どもの養育監護及び教育する権利義務がありますが、近時、児童相談所への虐待事案の通報件数は大幅に増加し、2009年は約4万4000件と、10年前の約3.8倍にも達しています。子どもを虐待したとして刑事事件になるケースもあとを絶ちません。

父母が親権を濫用したような場合には、民法には、家裁がその「親権の喪失」を宣告できるという制度があります(834条)。しかし、期限を定めずに親権を奪うため親子関係への影響が大きく、申立をためらうケースがあると指摘されていました。

このような児童虐待を防止するための民法などの改正案が、2011年5月、国会で成立しました。

今回の制度は、親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家裁に申し立てることを可能とし、認められれば最長2年間親権が停止されます。
状況が改善されれば、親や親族は親権停止の取消請求ができますが、改善されなければ延長も可能という内容です。

また児童福祉法も改正され、児童相談所長や児童養護施設の施設長らの権限を、緊急の場合は親の意向よりも優先させて、一時保護中や入所中の子どもを監護、教育できるとしました。

本年4月1日から施行です。

「子どもを守る」ための最初の1歩ですね。

                                  (弁護士村松いづみ)