那須雪崩事故の引率教諭ら3名に実刑判決(2024.5.30)
2017年3月27日、栃木県那須町のスキー場周辺で、登山講習中の県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、宇都宮地裁は5月30日業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人の過失を認めて、「雪崩が自然現象という特質を踏まえても、相当に重い不注意による人災だった」としていずれも禁錮2年(求刑禁錮4年)の判決を言い渡しました。部活動中の事故で引率教諭らが実刑判決を受けるのは異例ですが、判決理由の中で、「学校活動の一環で安全確保が強く求められる中、地形や少なくとも30㎝の新雪の状況から雪崩事故が起きる危険性を容易に予見することができた」として過失を認定しました。
当日は、「春山安全登山講習会」の3日目、最終日でした。計画では、講習の仕上げ、復習として茶臼岳(百名山の那須岳)登山を行なうことになっていました。しかし、日本の南岸を北東に進む低気圧の影響で、26日夕方から雪が降り始め、27日朝までに30㎝の雪が積もり、テントが雪の重みで潰れかかったり、入り口が雪で埋まったりしていました。午前6時過ぎ、大雪と悪天が予想されたため、茶臼岳登山を中止することが決定されました。代わりにラッセル訓練(歩行訓練)を行なうことになり、営業が終了している那須温泉ファミリースキー場ゲレンデと隣接する樹林帯で行なうことになりました。午前8時43分、雪崩が発生し、高校生7名と教師1名の尊い命が失われました。
裁判では、引率教師ら3人が当日の朝の時点で雪崩の発生を予見できたかが争点となり、検察側が「冬山登山の知識や経験があり予見できた」と主張し、禁錮4年を求刑したのに対し、弁護側は「必要な情報は収集していたが雪崩は予見できなかった」として無罪を主張していました。多少なりとも雪山登山の経験のある私の知識でも、新雪が30㎝も積もっており、急斜面の、しかも樹林の疎らな斜面を歩行するのであれば、新雪雪崩が起きる可能性が大きいと判断することができます。引率教員らは、雪山経験も豊富な方々であり、なぜ雪崩が予見できなかったのか、不思議でなりません。ましてや、高校生たちの雪山歩行訓練としての行事です。その意味では、裁判所が「前日からの新雪が30㎝に達しており、雪崩の危険性を予見することは十分に可能だった」と認定し、その上で「安全確保が強く求められる教育活動だったのに、緊張感を欠き、漫然と訓練を実施した」と指摘し、「雪崩の危険を予見することは十分に可能で、相当に重い不注意で人災」と認定したのは当然かと思います。