(最新判例:労働)非正規の賞与・退職金格差、不合理認めず(最高裁)

 

非正規労働者と正社員の待遇格差を巡り、賞与や退職金を支払わないことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁は、2020年10月13日、「各企業などにおける賞与、退職金の性質や支給目的を踏まえて検討すべき」と判断しました。

その上で、今回の2件のケースは、「不合理な格差」には当たらないと結論付けました(2020年10月14日京都新聞朝刊)。

 

労働環境の変化に伴い、非正規労働者は約2000万人を上回ります。

正規と非正規との格差の拡大が問題となる中、注目されていた最高裁判決でした。

 

大阪医科大学訴訟は、アルバイト職員だった女性の賞与不支給を巡る訴訟でした。

2審の大阪高裁は、賞与が正社員の支給基準の6割に満たない場合は不合理と判断しました。

最高裁は、正社員と比べると、女性の業務は相当に軽易とうかがわれるとし、また、正社員は人事異動があり、アルバイト職員に配置転換はなかったなどと認定し、賞与について労働条件の相違は不合理とまでは評価できないと判示しました。

 

もう1つの東京メトロコマース訴訟は、元契約社員の退職金不支給を巡る訴訟でした。

2審の東京高裁は、「長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理だ」と判断しました。

最高裁は、「退職金は、労務の対価の後払いや継続的な勤務に対する功労報償など複合的な性質を有し、職務を遂行し得る人材の確保や定着を図る目的から、さまざまな部署で継続的に就労することが期待される正社員に支給される」とし、「正社員と契約社員の業務の内容、責任の程度を見ると、業務に共通部分はあるが、・・・一定の相違があったことが否定できない」などと認定し、「退職金の有無に係る労働条件の相違は不合理とまでは評価できない」と判示しました。

 

賞与や退職金いずれについても、「不合理な格差と認められる場合はあり得る」との考えを示す一方、使用者側の裁量を広く認めた判決となりました。

 

正規と非正規との不合理な格差を目指す政府の「同一労働同一賃金」制度は、今年4月から大企業で導入されています。

最高裁は、「不合理な格差と認められる場合はあり得る」と判示しましたが、それが一義的な内容でない以上、非正規労働者にとっては、司法の判断を待つなどできません。

法律の整備は急務です。