(最新判例:その他)DNA鑑定で血縁否定でも「父子」認定(最高裁)

 

結婚後に生まれた子がDNA鑑定で血のつながりがないとわかった場合、法律上の父子関係を取り消せるかどうかが争われた3件の訴訟で、最高裁は、7月17日、「生物学上の父子でないと科学的に証明されても、法的な父子関係を取り消すことはできない」との初判断を示しました。

 

民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と定めています。

夫は、自分の子でないと主張することはできますが(嫡出の否認=民法774条)、それは、夫が子どもの出生を知ってから1年以内に嫡出否認の訴えを提起しなければならないとされています(民法777条)。

その規定は、子どもの法的安定を早くはかるという趣旨で設けられました。

 

しかし、99%親子関係が判明すると言われるほどDNA鑑定技術が進んだ今日、DNA鑑定で血縁が否定されても、父子関係の「推定」が及ぶのかというのが本件の争いでした。

 

そして、最高裁は、「DNA鑑定での血縁否定は、例外にあたらず、嫡出推定は覆らない」と判断しました。

 

ただ、5人の裁判官中2人の裁判官は、「実の父との親子関係が確保できている場合は、取り消しを認めるべき」という反対意見を述べています。

また、4人の裁判官が立法で解決すべきとも述べています。

 

子どもの身分を法的に安定させるために設けられた民法の規定を尊重する判決ですが、最高裁の裁判官も実態に合わないという思いを持っていることが伺われます。

 

わりきれない思いが残る判決になりました。

 

(弁護士村松いづみ)