(最新判例:その他)大飯原発再稼働の差し止めを認める!(福井地裁)
2014年5月21日、福井地裁前には「司法は生きていた」という垂れ幕が掲げられた。
福井県内外の住民189人が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた訴訟で、福井地裁は、「運転してはならない」と命じた。
判決要旨全文は、下記のサイトで読むことができる。
http://www.news-pj.net/diary/1001
判決全文は、下記のサイトで読むことができる。
何度読んでも、素晴らしい判決だ。
「人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない」
とし、
「原子力発電所の稼働は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである」
まさに憲法の人権保障の原点に立ち返って論じている。
福島原発事故によって
「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは・・・十分に明らかになったといえる」
とし、
「地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない」
と断じている。
そして
「被告は本件原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的に許されないと考えている」
「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」
本当に、まだ「司法は生きていた」ことを実感した。
是非、判決(要旨でも)を読んでみてほしい。
(弁護士村松いづみ)